コアラの安楽死はやむを得ないことなのか? 他に救う方法は?

 

オーストラリア・ビクトリア州政府が、
700頭のコアラを安楽死させたという話題は、

日本人にとって心痛むニュースでした。

 

<産経ニュース 2015.3.4>

オーストラリア南東部ビクトリア州で2013~14年、
野生のコアラが生息域に対して過剰となり、
一部が飢餓状態に陥ったため、
数を減らす目的で約700匹がひそかに安楽死させられていた。

州当局者は、
「複雑で難しいが、人道的かつ効果的に解決しなければならない」
と述べ、新たな保護・管理を検討したいとしている。

 

 

日本人の感想は主に、二つの意見に集約されています。

 

一つは、
「かわいそう、どうにかできないのか?」というもの。

もう一つは、
「コアラは(殺して)よくて、クジラはダメというのはおかしい」

というダブルスタンダードを指摘する意見です。

 

 

オーストラリアは、反捕鯨の急先鋒ですし、

エコテロリストと呼ばれる『シーシェパード』の寄港地も
タスマニア島に存在します。

 

【シーシェパードの実態は? その主張・目的は何?】

 

コアラといえば、
愛くるしい顔と体型がまず目に浮かびます。

動物園でコアラを見た人は知っていると思いますが、
行ってみると結構寝ている事が多いです。

 

コアラ2

 

それもそのはず、コアラが寝たり休んだりする時間は、
一日のうち18~20時間もあります。

 

コアラは、基本的に木の上で生活するので、
寝る時ももちろん木の上です。

たまに木から木への移動の際に地上に降りますが、
この時は危険が伴います。

ディンゴ(≒野生の犬)やキツネに襲われるからです。

 

 

オーストラリアの東部と南東部に生息するコアラは、
ヨーロッパ人の入植以降、
1800年代後半から徐々にその頭数を
減らしていきました。

 

入植者達が、コアラを捕獲し、毛皮をヨーロッパに持っていき、
販売するようになったからです。

その後も、土地の開発で生息地である森林が分断されたり、
乱獲が行われることで、
益々コアラは個体数が減っていきます。

 

では、なぜ減少傾向にあるコアラを
安楽死させなければならないのでしょうか?

 

考える女性

 

これは、全体としては減少しているコアラですが、
ある地域では逆に増えすぎているという結果からです。

 

例えばビクトリア州西部の沿岸の地域では、

1ha当たり1頭以下が適切とされるコアラが、
10倍以上の11頭まで増加してしまいました。

 

当然、食料であるユーカリが足りず、
飢えから衰弱してしまうコアラが増えていきました。

それでやむを得ず、
弱っているコアラを安楽死させるという
手法がとられたわけです。

 

この原因は何なのかと考えると、

森林の減少や環境破壊を生み出す人間社会のあり方に
問題があるような氣がします。

 

生息地が狭まり、過度の保護が行われているとすれば、
その地域のコアラは増えていくでしょう。

 

 

増えすぎたコアラを
他の地域へ移住させることはできないのでしょうか?

このことを考えるときに、
コアラの主食のユーカリが関係してきます。

 

ユーカリ

 

ユーカリには600種以上の種類があり、
変種も含めると更にその数は多くなります。

その中でもコアラが食用とするのは、ごく一部の種類です。

 

更に、コアラは地域(または個体)によって、
食用するユーカリが違っていて、
ビクトリア州のコアラは、
他の州の別種のユーカリは食べないということです。

 

かなりわがまま(?)な動物です。

これでは移住させるにも、膨大な労力と費用がかかってしまいます。

 

 

では、オーストラリア以外の他国の動物園に、
引き取ってもらうことは可能でしょうか。

 

愛くるしいコアラは、人気者ですから、
どこの動物園でも欲しがるのではないかと思います。

ところが、これも結論から言えば難しいようです。

 

東山動物園

例えば日本では、

東山動物園(名古屋市)や多摩動物園(東京都多摩市)で、
コアラが飼育されています。

 

ユーカリは日本では自生していない植物ですので、
栽培するしかありません。

オーストラリアから種を購入し、栽培するわけですが、
その費用は、東山動物園で年間およそ5,600万円です。

 

7頭(2015年1月現在)でこの金額ですので、
1頭あたり800万円かかるということです。

 

多摩動物園では、3頭で6,300万円かかるので、
1頭あたり2,100万円です。

 

この差は何なのかと思ってしまいますが、

安い方の多摩動物園で考えても800万円というのは、
他の大型の動物と比べても破格の金額です。

 

それだけユーカリ栽培に手間暇・費用がかかるということです。

 

東山動物園では、
『コアラ応援プロジェクト』(2013年)をたち上げて、
寄付を募りました。

 

コアラ3

 

日本ですらこの状態です。

他の国が果たしてこれだけのコストをかけて、
コアラを飼育するメリットを感じるかといえば疑問です。

 

 

こう見てくると、

タイトルの
「コアラの安楽死はやむを得ない事なのか? 他の方法は?」
に対する答えは、

「仕方ない」、「(他の方法は) 考えられない」になってしまいます。

 

ただ、短期的にはそうであっても、中長期的には、

植林などで本来の自然環境を取り戻す作業をする責任が、
人間にあるのではないかと思います。

 

最後に『コアラの鳴き声』をどうぞ。

 

 

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