
給食費未納の家庭が、現在も一定の割合で存在しています。
この給食費未納問題を解決するために政府は、
来年の通常国会で関連法の改正に取組む予定です。
<日経新聞 電子版 2015年8月18日>
政府・自民党は公立小・中学校の給食費について、
未納があった場合に保護者の申し出がなくても
児童手当から強制的に天引きする仕組みを検討する。
給食費の未納が各地で相次ぎ、
食事の量や質を落とさざるをえない状況も生まれているため
抜本的な対策が必要と判断した。
2016年の通常国会での関連法改正をめざす。
政府がこのような計画をしているという事は、
給食費未納問題に対して、
なかなか改善の道が見えないからなのでしょう。
文部科学省では、
平成24年度の学校給食費の徴収状況を調査して、
その結果を発表しています。
【学校給食費の徴収状況に関する調査の結果について】
ここでは、全国の公立小中学校(約29,000校)の中から、
583校(小学校412校、中学校171校)を抽出して調査しています。
未納者の割合は、約0.9%
(調査対象児童生徒数205,802人のうち1,910人)
未納額の割合は、約0.5%
(調査対象校給食費総額 約91億1千万円のうち約4千5百万円)
前回2年前の調査では其々、1.0%と0.6%でしたので、
微減といったところでしょうか。
注目すべき点は、
『未納の主な原因についての学校の認識』という項目です。
○保護者としての責任感や規範意識 61.3%
○保護者の経済的な問題 33.9%
○その他 4.9%
※「その他」は、上記2項のどちらか判別できないための選択と思われる
この数字は、あくまで学校側からの認識ですが、
未納している保護者への対応の際に、
自宅へ電話した時の保護者の応対や訪問時の家の様子、
日頃の児童・生徒の態度、学校行事への参加状況など、
様々な内容から判断しての結果でしょうから、
それなりに信頼できる認識でしょう。
ちょっと不思議に思ったのが、
「保護者の経済的な問題」が33.9%(647人)という数字です。
通常、生活保護を受給していたり、低所得の家庭の場合は、
申請により給食費を負担しなくてもよい自治体がほとんどです。
学校側としても、未納保護者の対応として、
『就学援助制度等の活用を推奨』を、
62.7%の学校が実施しています。
それに対して、「効果のあった取組」が、
『就学援助制度等の活用を推奨』では、
19.9%(54人)にとどまっています。
これは、援助制度の申請を面倒だと思って行わないのか、
または田舎ですと人の目(役場職員、噂)を氣にして、
申請をあえてしないということなのかもしれません。
やはり問題なのは、
『保護者としての責任感や規範意識』です。
<朝日新聞DEGITAL 2015年6月25日>
学校給食費を「払えるのに払わない」とみられる未納が相次ぎ、
埼玉県北本市立の中学校4校は、
3カ月未納が続いた場合は給食を提供しないことを決めた。
実施は7月から。
未納額が膨らんだことによる苦肉の策だが、
各家庭に通知したところ、該当する保護者43人のうち、
納付の意思を示さない保護者は3人に激減した。
こういう記事を見ると、
ちょっと悲しくなります。
“ 納付の意思を示さない保護者は3人 ” とありますが、
この家庭で養育されている少なくとも3人の生徒は、
日頃この保護者からどんな教育を受けているのか、
他人ながら心配になります。
少数ながら「払えるのに払わない」人がいる限り、
政府が進めようとしている
『児童手当から強制的に天引きする仕組み』は、
やむを得ない処置なのかもしれません。
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