寝たきり老人と終末期医療について考えさせられる書籍

 

「人は、何のために生まれるのか?」

「死んだらどうなるの?」

永遠のテーマともいえる問題があります。

 

日本の平均寿命は、
男80.50歳、女86.83歳(2014年10/1現在)で
世界最高水準です。

 

長寿

 

これは私だけではないと思いますが、

日本の平均寿命を基準として、何の根拠もなしに、
だいたい80歳くらいまでは生きられるだろうという思いが、
誰にでもあるのではないでしょうか。

 

30代のアナウンサーや50代の女優が、
癌で亡くなったというニュースに触れ、

あらためて“明日は我が身”という考えにいたります。

 

先日も友人との会話で、死について考えさせられました。

友人の会社の50代後半の同僚が、
数ヶ月前に突然の脳出血で亡くなりました。

週末、「また来週と」と別れて、2日後のことです。
日ごろからなんの問題もなく、元氣に過ごしていた人だったそうです。

 

 

そんなこともあってか、以下の書籍を読む機会がありました。

 

「欧米に寝たきり老人はいない」
宮本顕二・宮本礼子

欧米には

 

本当に、読んで良かったと思う書籍です。

 

副題に、「自分で決める人生最後の医療」とありますが、

寝たきりで意識がなくなるような状態になってからでは、
医療方針の希望を自分で決めることはできなくなります。

だからこそそれ以前から、老後の死について考える必要性があります。

 

 

著者の宮本夫妻は、ともに内科医で、
専門は、顕二氏が肺の病気で、礼子氏は認知症です。

終末期医療のことを深く考えるようになったのは、

2006年、認知症の専門病院『きのこエスポアール病院』の
藤沢嘉勝医師の講演を聞いたことからでした。

 

その翌年2007年に、
スウェーデンの認知症専門医のタークマン医師を訪ねます。

タークマン医師の案内で、病院や老人介護施設を見学しますが、
そこに寝たきり老人は一人もいませんでした。

 

寝たきり老人

 

それは、なぜか?

 

寝たきりになる前に亡くなっていたからです。

 

もちろん亡くなる前の数週間は寝たきりになりますが、

チューブから栄養をうけ、手足の関節が固まり寝返りも打てず、
一言も話さないで何年もたつという意味での
寝たきり老人がいないということです。

 

私個人的には、日本の寝たきり老人の現状は知りません。

 

ですが、宮本医師らが問題提起しているということは、

欧米にはいない、動けずしゃべらず意思を表すことができない状態で、
生かされている寝たきり老人が日本には多くいるということでしょう。

 

日本では延命措置を行わないで、
看取りをする病院がとても少ないそうです。

逆をいえば、多くの病院が延命措置を行うということです。

 

延命措置

 

厚生労働省が、

「人生の最終段階における医療に関する意識調査」を行い、
その報告を2014年3月に発表しました。

 

【人生の最終段階における医療に関する意識調査】

 

この調査は、2013年3月に、
全国の一般国民・医師・看護師・介護職員等を対象に実施され、
郵送にて行われた意識調査です。

 

この中の項目で、
終末期をむかえているであろう段階で、
どのような治療を望むか質問しています。

 

『口から水が飲めなくなった場合の点滴』に対しては、
6割前後の人が、一般国民・医師にかかわらず希望しています。

 

それに対して、
『口から十分な栄養がとれなくなった場合の中心静脈栄養』には、
(首などから太い血管に栄養剤を点滴すること)

7割をこす医療関係者が、望まないと答えています。(一般国民56.7%)

 

更に、鼻からの流動食を入れることや、
胃ろう(胃に穴を開け管を取り付ける)で流動食を入れることについては、

8割~9割近い人達が、希望しないと答えています。

 

この調査でもわかるように、
延命処置を希望する人は、少数派です。

 

にもかかわらず、なぜ多くの病院が延命措置を行うのでしょうか?

 

宮本医師によるとそれは、以下の理由からだそうです。

<希望しない延命が行われる五つの理由>

・我が国にある延命至上主義

・自分はどのように死んでいきたいかを家族に伝えていないから

・診療報酬や年金などの社会制度の問題

・医師が遺族から延命措置を怠ったと、
訴訟を起こされる危険性があること

・倫理観の欠如

 

最後の“倫理観の欠如”について、

宮本医師は、スウェーデン、オーストラリア、スペイン、
オーストリア、オランダ、アメリカ、6カ国を見てきた中で、

「その根底にあるのは、人は必ず死ぬものであり、
その人の尊厳を損なってまで延命を図ることは、
倫理的に許されないという考え方」

と述べています。

 

日本では、自分がされたくない延命措置が、行われています。

 

現在、リビング・ウィルや
(終末期に受ける医療について、自分の希望を書いたもの)

事前指示書(リビングウィルに、医療代理人の氏名と署名が加わったもの)
というものが存在しますが、

まだ法的な拘束力はありません。

 

 

宮本医師が序章で、

「国民一人ひとりが、自分はどのように生きて、
どのように死を迎えたいのかを考えないことには、
この問題は解決しません」と述べているように、

いくつかの課題はあったとしても、
それを変えていくのはまず私の意識からかもしれません。

 

最後に、印象的なメールが紹介されていたので記します。

92歳Aさんの娘さんは、

「日ごろ母は、“ 延命措置はしないでちょうだい。
迷ったら、あなたがしてほしくないことは、
私にもしないで ”と言っていました」

と伝えてくれました。

 

高齢者の終末期医療を行う上で、
この言葉(「あなたがしてほしくないことは、私にもしないで」は、

今まさに必要とされている言葉ではないでしょうか。

 

 

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