プーチン大統領の北方領土問題に対する発言や本音を確認してみよう

昨年12月に来日して、安倍首相との首脳会談を行ったプーチン大統領でしたが、北方領土返還の具体的な発言を聞くことはできませんでした。

日本では北方領土に対して、「日ソ中立条約を破棄して突然攻めこみ、どさくさに紛れて北方領土を占拠した」という認識が一般的ではないでしょうか。

ロシア領となっている北方領土に現在、日本人は住んでいません。

北方領土とは?

北方領土とは、そもそもどこのことをいうのでしょうか?

北方領土は、北海道根室半島の沖合にある四島を指していいます。 四島とは、択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島のことです。



歯舞群島は一つの島ではなく、大小の島々をまとめて、歯舞群島と呼んでいます。

北方領土というと小さな島のイメージを持つ人もいるかと思いますが、択捉島は東京都の面積よりも広く、国後島も沖縄本島よりも大きな島で、第二次世界大戦前には、およそ1万7千人が居住し、主に漁業を中心に生活していました。

この海域は、千島寒流と対馬暖流が交錯している所なので、水産物に恵まれた良質な漁場として知られています。

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ロシアにとっての北方領土

世界大戦の戦利品

国が違えば、同じ出来事でも見解が違ってきます。

ロシアにとって北方領土は、あくまで第二次世界大戦の戦利品として、一般的には考えられています。

また多少知識のある人になると、日ソ中立条約うんぬんと指摘しても、「日本だって、宣戦布告なしで真珠湾攻撃したじゃん」と言ってくるそうです(ロシア在住ジャーナリストの話)。

「いや、あの真珠湾攻撃は外務省の大使館員が…。」などと言っても、「そんなの日本サイドの言い訳でしょ」と言われるのがおち。

結局、ああ言えばこう言う状態です。 正論を言っても問題解決しないのが、国同士の関係ともいえます。

日本人は、中国や韓国が指摘してくる歴史問題や領土問題で、それは充分学習しているはずです。 中国や韓国にとって、事実が何であるかなどということは問題ではなく、『こうあるべき歴史』 『こうあってほしい事実』が前提にあります。

領土問題は、現時点でどこの国が統治しているかが大きなウエイトをしめるので、本気で取り戻すためには、戦争も辞さない覚悟が必要です。

もし北方領土を奪い取るために戦争になったら、世界の国々からの批判、多大な犠牲、国民からの反発、どう考えてもマイナス要素の方が大きいです。

ヤルタ会談

北方領土の問題を考える時におさえておきたいのが、1945の年2月にクリミア半島のヤルタで行われたヤルタ会談です。 連合国側の米国ルーズベルト大統領・英国チャーチル首相・ソ連のスターリン首相の三者が集まり、戦後処理に関する案件を話し合った会談です。

この会談ではヤルタ協定が結ばれ、ソ連が対日参戦することを条件に千島列島の引き渡しを要望し、米英が同意しました。 北方領土問題の出発点に、米国が大きく関わっているということです。

結論的には、ロシアにとって北方領土は、第二次世界大戦の勝利によって得た戦利品です。 70年以上にわたってロシア領土としての実績があり、またそこで生まれ育った多くのロシア人にとっては、北方領土が生まれ故郷だという現実があります。

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プーチンの北方領土への発言・認識

1956年、日本の当時の鳩山一郎首相とソ連のブルガーニン首相との間で、日ソ共同宣言が交わされました。

日ソ共同宣言には、以下の内容が書かれています。

日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言

9 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。

ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。

ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

「歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡す」とありますが、択捉島と国後島のことは書かれていません。

米ソの冷戦時代には、日米安全保障条約改定を行った日本に対して反発したソ連が、二島の引き渡しを撤回すると発言し、日ソの冷却期間が続きました。 その後、ソ連の崩壊後は、ロシアがその共同宣言を引き継ぐかたちとなりました。

プーチン大統領は2000年に来日した際、「56年宣言(日ソ共同宣言)は有効であると考える」と発言しています。 色丹島と歯舞群島の2島は、平和条約締結後に引き渡しすことをプーチン大統領は、承知しているということです。

これに対して安倍首相は「ただ『主権をかえすということは書いてない』というのが、プーチン大統領・ロシア側の理解であります。」と認識しているようです。

実際、2016年12月に読売新聞がおこなったプーチン大統領への単独インタビューでプーチン大統領は、

「共同宣言を注意深く読むと、まず平和条約を締結し、その後、共同宣言が発効して、2つの島が日本に引き渡されると書いてあります。 引き渡しの条件や主権については書かれていません。にもかかわらず共同宣言は署名されました。」

と述べています。

『引き渡すけれど主権の有無は不明』とは、普通に考えればおかしな話ですが、あくまで交渉のためのハードルを設けているのでしょう。

更にプーチン大統領は、

「共同宣言には2島について書かれていますが、首相が4島の問題を提起しました。 つまり、共同宣言の枠を超えています。これはまったく別の話で、別の問題提起です。」

と安倍首相をけん制しています。 まず「『共同宣言』をしっかりと履行していくこと」を提起して、日本をいさめています。

現在のロシアと米国は、米ソ冷戦時代とはいかないまでも、敵対関係にあるといえます。 その米国と安全保障条約を結んでいるのが日本ですから、もし二島を返還した際に、色丹島に在日米軍基地を移転してくるのではないかという危惧を、プーチン大統領がいだくのは自然なことです。

 

人間の歴史は、極論すれば争いの歴史であり、土地の奪い合いの歴史ともいえます。 時には理不尽に屈服させられ、土地を強奪されてきた民族、国家が多数存在しました。 正しいことを主張していれば、その主張通りの結果になるわけではありません。

北方領土の問題も同様です。

政治指導者の交渉力ももちろん重要ですし、それ以上に時の運勢(世界情勢、国家の盛衰)をどう生かせるかということが鍵になります。

プーチンという絶大な権力を持った指導者がロシアの大統領の時に、どこまて領土問題を進展させられるのか。 日本も長期政権となっている現在の安倍政権だからこそできる交渉をして、北方領土問題の解決を少しでも前進させてほしいです。

 

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