参議院選挙の比例代表に特定枠ができたのはなぜか? どんな制度か確認してみる

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2019年夏の参議院議員選挙が終わりました。
投票率は、過去最低だった1995年参院選の44・52%に次ぐ、低水準の48.80%でした。

“驕る”自民党 と “頼りない”野党 という選挙戦でしたので、この投票率もある面仕方ないでしょう。

「選挙に行っても何も変わらない」と考えた人が、更に増えてしまったのかもしれません。

今回の参議院議員選挙では、過去の選挙と違った制度が取り入れられました。
それが、比例代表における『特定枠』です。

【共同通信 2019.7.22】

政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表は、今回の参院選比例代表に立候補した全ての候補者で最高となる97万票以上を獲得したものの、落選した。

新設された特定枠で擁立した2人が優先的に当選し、3議席目を得られなかったためだ。2001年以降の現行選挙制度で落選者の最高得票も更新した。

山本太郎氏が、97万票を得票しても落選したのはなぜなのか、『特定枠』について確認してみましょう。

参議院議員選挙の概要確認

参議院議員選挙の概要を、まずはおさらいしてみます。

参議院議員の任期は、6年です。
定数は248人(現在移行期のため245人)で、その半分にあたる124人が3年ごとに選挙をおこない、改選されます。

参議院議員選挙は、選挙区と比例代表でそれぞれ選出され、選挙区148人、比例代表100人という内訳です。

繰り返しますが、3年ごとの選挙ですから、今回は選挙区74人、比例代表50人を選ぶことになります。

 

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比例代表『特定枠』のしくみ

総務省のHPには、この特定枠をつくった理由として、

「全国的な支持基盤を有するとはいえないが国政上有為な人材又は民意を媒介する政党がその役割を果たす上で必要な人材が当選しやすくなるよう」

と述べています。

知名度がなく選挙に弱い人物でも、この『特定枠』に入れば、当選の可能性が高くなります。(大きな政党であればほぼ100%当選)

なぜか?

八千代市HPより抜粋します。

特定枠があるときは、特定枠に記載されている候補者を上位とし(名簿記載の順位のとおりに当選人とする)、その他の名簿登載者については、その得票数の多い者から順次に定める(八千代市HPより)

今回のれいわ新撰組を例にするとわかりやすいです。

れいわ新撰組は、2名を特定枠としました。
特定枠1位は舩後靖彦氏で、2位は木村英子氏です。

二人とも、全国的には無名の人物でした。

参議院の比例代表は、政党名と政党所属の個人名の合計票が、政党獲得票となります。
この各党の獲得票をドント方式によって、全50議席を分配します。

れいわ新撰組の総獲得票は228万0764票で、今回の比例代表では、2議席を獲得できたのです。※開票時のミスがあり得票に多少の変動あり

そして先ほどのニュースが伝えるように、山本太郎氏は、3議席目を得られなかったため、落選となりました。

 

『特定枠』ができた理由

今までなかった『特定枠』が新設されたのは、どんな理由があるのでしょうか。

今回、「特定枠」で立候補したのは5人で、このうち、自民党は「合区」の選挙区で候補者を擁立していない島根県と徳島県から2人が立候補しました。
このほか労働者党で1人、れいわ新選組で2人が立候補しています。【島根NHKニュース】

“一票の格差”問題が、参議院選挙区の区分けに影響したのです。

そのため、有権者数の少ない島根県と鳥取県、徳島県と高知県が、それぞれ2県で定数1という、状況になってしまいました。

都道府県枠よりも、“一票の格差”の方が優先されてしまった結果です。

ということは、3年ごとの選挙で、今まで当選していた二人の参議院議員(主に自民党)が、選挙区から立候補できなくなるということです。

その二人の救済措置として作られたのが、まさにこの『特定枠』なのです。

今回の自民党比例代表の特定枠2名は、2013年徳島選挙区で初当選した三木亨氏と、亡くなった島田三郎氏(前参議院議員)の後継者の三浦靖前衆議院議員でした。

 

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国政選挙のルールを国会議員が決める

参議院比例代表の『特定枠』を設けるために、公職選挙法の一部が改正されました。

言うまでもなく、立法や法改正をおこなうのは、国会議員です。
その国会議員が、自分達の選挙のルール(法律)を、自分達で決めています。

国会議員にとって不利になるような法改正を、期待する方が無理というものです。

 

れいわ新撰組から出馬して当選した二人は、重度の障害を持っていると報道されています。

舩後靖彦氏は筋萎縮性側索硬化症(ALS・重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患)で 、木村英子氏は重度の身体障害を持ち、脳性麻痺とも診断されたそうです。

移動手段は電動車椅子で、操作する右手以外の体はほとんど動かないということです。

国会議事堂のバリアフリーの問題だけではなく、両名には国会議員の激務(?)に堪えられるのかも問われます。

 

自民党ファーストでできた『特定枠』制度が、れいわ新撰組の新しい2名の国会議員によって、その賛否が問われることになるかもしれません。

 

 

【関連記事】⇒『参議院は必要か?存在意義について考えてみた

 

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