
先日、カフェインの過剰摂取で、九州の20代の男性が中毒死したニュースは、かなりインパクトがありました。
「一日にどれだけコーヒー飲んでたの?」
「カフェインを、どんな取り方してたんだ?」
「私、けっこうコーヒー飲むんだけど大丈夫?」
そんな思いを多くの人が持ったと思います。
カフェインでの中毒死
福岡大学での解剖の結果、カフェインの血中濃度が致死量に達していたことがわかりました。
<毎日新聞>
同大によると、男性は20代前半。
ガソリンスタンドで深夜から早朝まで勤務し、眠気覚ましとして1年以上前からカフェイン150mg程度を含むエナジードリンクを飲んでいた。
亡くなる約1週間前から家族に体調不良を訴え、吐くこともあった。解剖で男性の血液1mlから致死濃度(79~567マイクログラム)に当たる182マイクログラムのカフェインを検出した。 胃からもカフェイン錠剤の粉末が見つかり、中毒死と結論づけた。
要するに、深夜勤務の眠気対策として、エナジードリンクやカフェイン錠を、長期にわたって過剰に取っていた結果、今回の中毒死に至ったわけです。
「このガソリンスタンドは、ブラック企業なの?」
「夜間勤務なら、昼間に寝ていなかったのか?」
そんな疑問も出てきますが、それは置いておきます。
食品のカフェイン濃度
やはり気になるのは、どれだけの量のカフェインを取ったら、身体に影響が出てくるのかという点です。
カフェインが含まれる一般的なものといえば、誰でもまず一番に思い付くのがコーヒーでしょう。
その他の飲み物でも、緑茶や紅茶、ウーロン茶には、結構カフェインが含まれています。
チョコレートにもカフェインは含まれています。
ただこれらの商品は、眠気覚ましのためというのもあるでしょうが、どちらかといえば、好きだから飲食するというものです。
どうしても睡魔に打ち勝たないといけないという場合は、エナジードリンクや眠気覚ましドリンクを飲むという選択肢が増えてきています。
カフェイン錠剤
眠気を防ぐために、この亡くなった男性のようにカフェイン錠剤を飲むという方法もあります。
ちなみに、検索サイトで『カフェイン錠剤』を検索すると、トップの方に、「エスタロンモカ錠」というのが出てきます。
1回1錠(1日3回まで服用)
4時間以内の連続服用は避ける
1錠中成分:カフェイン100mg
希望小売価格:432円(1箱24錠)
こんな手頃な値段で、買えるんですね。
インスタントコーヒー一杯分やエナジードリンクとあまり変わらないカフェイン量です。
そう考えると、コーヒーを飲むのも錠剤のように、ある程度の時間をおいて飲む必要があるのでしょう。
ここで、公益財団法人 日本中毒センターの専門家向け中毒情報を見てみます。
<毒性>
[成人]・1g以上で中毒症状が出現する可能性が考えられる
・2g未満でも頻回嘔吐、
血清カリウム値の低下等が出現する可能性があり、2g以上では頻脈、心電図の異常、筋症状、クレアチンキナーゼ上昇が、出現する可能性がある。
1gというと、先ほどの錠剤でいえば、一日に10錠のカフェイン錠剤を取るレベルになります。
エナジードリンクでも5~10本前後、コーヒーでは10杯以上ですから、通常の飲み方からかけ離れています。
専門家によると、「カフェインは、耐性ができやすいのですぐ効きが悪くなり、どんどん多く取るようになる」とのことです。
錠剤の場合、いつでもどこでも手軽に取れるので、用法・用量を守らなくなってしまう可能性は高いのかもしれません。
カフェインは、中枢神経系を興奮させて眠気を払う効果があるので、長期に常用的に過剰摂取すれば、交感神経のバランスを崩すであろうことは、素人でも想像がつきます。
結果、過剰摂取で、頭痛、心拍数の増加、不安、嘔吐、下痢などを引き起こします。
亡くなられた男性は、睡魔との闘いの中で、カフェイン摂取が徐々に増え、やがてカフェイン耐性で、身体がカフェインに反応しなくなり、更に多くのカフェインを摂取するようになっていったのが予想できます。
カフェイン中毒の症状が出てきた時に、本人が自覚し、周囲の人達が気づいていたなら、専門家の適切な治療ができたでしょう。
今回のニュースを反面教師とするなら、縁を持った人へ関心を持ち、忠告・進言ができるような人になりたいですね。
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