
消費税が5%から現在の8%に上がったのは、2014年4月の安倍内閣の時でした。
実際は前の民主党の野田内閣の時に消費税の増税が決定し、実行に移されたのが安倍内閣ということになります。
当初、1年半後の2015年10月には消費税を10%に上げる予定でした。 ところが当時の経済状況を考えればとても10%に上げられる状況ではありませんでしたので、安倍内閣では増税時期を延期し、2017年4月1日と決定します。
更に、2017年4月1日の消費税増税も厳しいと判断した安倍首相は、2016年5月に再び先送りすることを決断しました。
では、今度はいつから消費税を10%に上げる予定になっているのでしょうか?
最初の消費税3%
最初に消費税法が成立したのは、1988年の自民党の竹下登内閣の時でした。
翌年1989年4月1日から消費税が3%になります。
この消費税導入やリクルートの贈収賄事件、当時の宇野首相の女性問題などが重なり、自民党はその年の7月におこなわれた参議院選挙において結党以来初めて、追加公認を合わせても参議院での過半数を失ってしまいます。
消費税5%へ、更に8%時代へ
消費税3%時代が9年間続いた後、1997年4月1日に消費税が5%になりました。
この時は、自民党の橋本内閣が政権を担っていました。
この消費税増税により、結果的に失業率は4.1%に達し、日本は本格的なデフレへと突入していくことになってしまいます。
そして消費税が8%に上がったのは、まだ記憶に新しいところで、冒頭で書いたように2014年4月1日でした。
この増税は、安倍政権の金融政策で上向きかけた景気に、結果的には冷水を浴びせたかたちになり、その後なかなか景気が上向いてきていません。
消費税10%はいつから?
結論からいうと、消費税が10%になるのは、現時点で2019年10月1日からです。
前回、消費税増税を見送った際に安倍首相は、
「世界経済は不透明感を増している。 中国など新興国の経済に陰りが見える。 あらゆる政策を総動員する。 内需を腰折れさせかねない消費増税は延期すべきであると判断した」
と述べました。
デフレ脱却のためには、消費税増税『延期』ではなく、『凍結』にしなくてはいけないという意見もありましたが、安倍首相は『延期』という決断をしたのです。
2019年10月の消費税10%引き上げの時には、軽減税率もその際に導入するとの見解を安倍首相は示しています。
軽減税率とは?
軽減税率とは、どういったものでしょうか?
消費税を10%に上げる場合、すべての商品の消費税を10%にするのではなく、食品や生活必需品に対しては、消費税を低くするというものが軽減税率です。
消費税は、所得の高い人も低い人も同じように支払うものなので、所得の低い人には負担になってしまいます。
そこで軽減税率を導入することで、少しでも『低所得者の負担の軽減』つながればいうものですが、実際のところ『高所得者ほど軽減税率の恩恵をより大きく受ける』と反対する人もいます。
以下の画像は、国税庁が2017年7月に国民向けに発表したパンフレットの一部です。
消費税を上げたい財務省
デフレ期の増税
安倍政権では、二度に渡って消費税の増税を見送ってきました。
これを評価する人の主張の骨子は、『デフレにおける増税はあり得ない』というものです。
デフレ期は総需要が減っている状態です。 にもかかわらず増税すれば、益々需要が減り、それにあわせて供給する側も供給を縮小せざるを得ません。
企業が供給を縮小させるということは、売上・利益が減るわけですので、社員の給料減額もしくはリストラとすすみます。
企業は多少の利益が出たとしてもなるべく資金を使わず、内部留保(貯めこむ)して、チャレンジよりも安心・安定を求めます。
このように、どんどんデフレの負のスパイラルにはまっていく状態なのだから、『増税はあり得ない』という考え方です。
では、企業も国民もお金を使わないこの状態で縮小していく日本マーケットで、誰がお金を使ってマーケットに刺激(需要)を与えていくべきか?
それが日本政府であり、いわゆる財政出動といわれている政策です。
最強省庁・財務省
この財政出動に待ったをかけるのが、キングオブ省庁である財務省です。
消費税増税のため、財務省の主張はある意味一貫しています。
「『国の借金1000兆円』次の世代のために精算」
「増大の一途をたどる社会保障の財源確保」
財務省にかぎらず各省庁には、その省庁が存在する意義として、『○○設置法』という法律があります。
財務省であれば、財務省設置法です。
第二節 財務省の任務及び所掌事務
(任務)
第三条 財務省は、健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ることを任務とする。
財務省設置法には財務省の任務として、「健全な財政の確保」とあります。
わかりやすく言えば、『財政支出を税収入以内に納めること』=『借金をしないこと』が財務省の使命であり任務なのです。
会社をイメージした時に、経理部が一番力を持ち、経営方針を決める会社が発展すると思いますか?
借金しない経営が一番の目的で会社を運営し、しかも経理部にはもっとも学業で優秀だった人達が在籍しているのです。
更にいうと、経営陣が三流大学出身者や高卒メンバーだったら。
もちろんこんな単純な話ではありませんが、イメージとして政府・財務省(官僚)・国会議員の関係に照らし合わせると、現在の消費税増税のかけ引きが何となく理解できると思います。
自民党若手議員の提言
不倫や暴行・暴言などで問題の多いとされる自民党の二回生議員ですが、こんな提言をする二回生議員もいます。
【産経ニュース 2017.6.26】
自民党衆院当選2回生の有志による「日本の未来を考える勉強会」(代表呼びかけ人・安藤裕衆院議員)が、基礎的財政収支(PB)の平成32年度黒字化目標の撤回と、31年10月の消費税率10%引き上げの凍結を求める提言書をまとめたことが26日、分かった。これまでに27人が賛同し、7月5日に首相官邸や党執行部に提出する予定だ。 提言書では、デフレからの完全な脱却のため、インフラ整備や教育国債の創設など財政出動による経済成長が不可欠だとしている。
消費税を上げることは目的ではありません。
長引くデフレを脱却し日本経済が好転していくよう、政治家も経済界も財務省も協力していってほしいですね。
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