
聞きなれない言葉ですが、今『ホットハウス・アース』という言葉が注目されています。
英語的には、簡単な単語の組み合わせですので、何となく意味のわかる人もいるかもしれません。
ホットハウス・アースとは、“地球の温室化”という意味です。
【BBCニュース 2018.8.7】
今後数百年にかけてうだるような暑さが続き、海面がそびえ立つほど上昇する、そんな状態に地球が向かっていく、その境界線を超えてしまうまで、あとわずかだというのだ。
たとえ世界各国が二酸化炭素(CO2)削減目標を達成したとしてもなお、我々はこの「不可逆な道」に転がり込んでしまうかもしれない。
ストックホルム大学ストックホルム・レジリエンス・センターが発表した研究結果によると、地球全体の気温が2度上がればこの現象が起きる。
ホットハウスアースの原因や影響について、もう少しわかりやすく見てみましょう。
地球の「ホットハウス」の原因
ストックホルム大学とコペンハーゲン大学などの多国籍研究者チームが8月6日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した報告書に「ホットハウス・アース」という言葉がでてきます。
内容としては、
『このまま二酸化炭素が空気中に排出され続ければ、いずれ自然のフィードバックシステムが機能しなくなり地球は不可逆的に加熱していき、やがてホットハウス・アースがおこる』
と予想するものです。
この報告書によれば、地球全体の気温が2度上昇すると、ホットハウス・アースという状態になってしまうというのです。
ただし、今後1~2世紀のうちに、このホットハウス・アース状態になる可能性は、低いとみられています。
今の人類がこの地球上で生きている間には起こらないとはいえ、私達の取り組みいかんで何世代も先の人類に、負の遺産を残してしまうかもしれないということではあります。
ホットハウスアースの影響
ホットハウス・アースによって、地球ではどんな影響が出ると考えられているのでしょうか。
【BBCニュース 2018.8.7】
ストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストローム所長は、「つまり気温が2度上がると、制御メカニズムを地球そのものに委ねることになるかもしれない」と話した。「今は我々人間がコントロールを握っているが、気温上昇が2度を超えた段階で地球のシステムは友人から敵に変わる。人類の運命は、均衡を乱した地球のシステムに完全に委ねられる」
少しイメージがしずらい所もありますが、人類が制御できる範囲(対策)をこえて、地球そのものが人類の脅威になるということのようです。
ホットハウス・アースの影響で、地球全体の気温は産業革命以前と比べて4~5度高い水準で安定すると考えられます。
そのためにあらゆる氷が溶け出すことで、海面は現在より10~60メートル上昇すると予想されます。
その影響で、地球の一部は人が住めない状態になるといいます。
ホットハウスアースへの対策
ホットハウス・アースにしないために、現時点で人類ができることはどんなことがあるのでしょうか。
コペンハーゲン大学に所属するキャサリン・リチャードソン教授によると、できれば2050年頃までに化石燃料の使用を止めるべきだといいます。
更に、植林をもっと増やして森林を育てることや、大気中から炭素を取り除く機械を開発する必要性なども説いています。
いずれにしても、この地球は現代を生きている人類の物だけでありません。
この学説の真偽はともかく、『地球に優しい生き方』とはどういうことなのか、一人一人が考えていかなければならない課題でしょう。
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