
新しい元号が決まりました。
「令和」(れいわ)です。
『令』という、“ちょっと意外な単語に決まった”と思った人は、私の他にもいらっしゃるのではないですか?
【NHK NEWS WEB 2019.4.1】
政府は1日午前、総理大臣官邸で、各界の代表や有識者からなる「元号に関する懇談会」を開き、新しい元号の複数の原案を示し意見を聞くなどしたうえで、臨時閣議で新しい元号を「令和」とすることを決定し、菅官房長官が午前11時半すぎからの記者会見で発表しました。
『令』という言葉について、少し深掘りしてみたいと思います。
元号の決め方
元号は、どうやって決めるのでしょうか?
法律・元号法にはこう書かれています。
元号法
1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
政令とは、 “ 内閣が制定する命令 ”のことです。
有識者の意見を参考にして、最終的には内閣が元号を決めるということになります。
1979年に大平内閣で、「元号選定手続について」という要領がまとめられました。
その抜粋です。
ア 国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること。
イ 漢字2字であること。ウ 書きやすいこと。
エ 読みやすいこと。
オ これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと。
カ 俗用されているものでないこと。
※原文はコチラ→「元号選定手続について」
有識者から集められたいくつかの元号の候補名を、最終的には全閣僚会議において協議し、元号を決定します。
元号に “安” が入ったら大変
さまざまな民間の機関が新元号についてのアンケートをとっていましたが、けっこう『安』の文字が人気で、「安久」や「安永」などの文字が挙げられていました。
ただし、この『安』の字は、安倍首相の『安』の字でもあります。
時の権力者が、次の元号に自分の姓名の一文字を入れたということになると、外野がかなり騒ぎたてることが予想できます。
そんなつまらない事で、新元号に“ケチ”がついてしまったら、即位される天皇陛下に申し訳ないですから、『安』は案の定、選ばれることはありませんでした。
「令和」決定理由
元号が「令和」に決まったいきさつについて、安倍首相は記者会見で説明しています。
本日、元号を改める政令を閣議決定いたしました。 新しい元号は令和であります。
これは『万葉集』にある「初春の令月にして、氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」、この文言から引用したものであります。 そしてこの令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められております。
『万葉集』は1200年余り前に編纂された日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく、防人や農民まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、わが国の豊かな国民文化の長い伝統を象徴する国書であります。
悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく。 厳しい寒さのあとに春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、1人1人の日本人があすへの希望と共にそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたい。 その願いを込め、令和に決定いたしました。
文化を育み自然の美しさをめでることができる平和の日々に心からの感謝の念を抱きながら、希望に満ちあふれた新しい時代を国民の皆さまと共に切り開いていく。 新元号の決定に当たり、その決意を新たにしております。
『令』の字は、「いいつける。命じる。」という意味のイメージが強いですが、「よい。りっぱな。」という意味もあります。
今までは、中国の古典を参考にして、元号を決めていました。
ちなみに「平成」は、中国の歴史書『史記』と『書経』から引用したものです。
それが今回の元号「令和」は、日本の万葉集から引用したという安倍首相の説明です。
万葉集という言葉を知らない大人や学生は、まずいないと思います。
ではその内容について、はたしてどこまで知っているでしょうか。
Wikipediaから引用します。
『万葉集』は、7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた日本に現存する最古の和歌集である。
天皇、貴族から下級官人、防人などさまざまな身分の人々が詠んだ歌を4500首以上も集めたもので(うち作者不詳の歌が2100首以上ある)、759年までの約130年間の歌が収録されており、体裁が整った成立は759年以後の、780年頃にかけてとみられている。
私はこの万葉集の内容を確認してあらためて驚いたのが、この700年代の時代にあって、天皇から貴族、さらには下級の役人から一般庶民までの歌を、万葉集という一つの歌集(20巻)にまとめて収めてあることです。
「今さら…。」そんな声が聞こえてきそうです。
無知で、すみません。
でも、これって凄いことですよね。
身分、階層にかかわらず一つの書物に編纂するなんて。 日本の国柄の一端を表しています。
その万葉集から引用された新しい元号、何だか新しい時代に相応しい元号であるなぁと、感慨深いものを感じました。
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